「咲都(サキト)、腹減った。素麺食いてぇ」


正午をとうに過ぎ、やっと部屋から出てきたと思ったら、僕の顔を見るなり、これだ。


いくら幼馴染みとはいえ、ここまでくると呆れるという感情を通り越して、もう一度眠らせてしまおうかとさえ思う。


彰那は僕の幼馴染みでもあり、寮での同室者。


陸上部で高跳びをやっていた彰那の健康管理にと、炊事は入寮した時から僕の仕事。

本当は学食の料理でも栄養バランスとかしっかりしているし、充分なんだけれど。


だけど、高跳びをやっている彰那は本当にカッコよくて。

僕なりに、彰那を支えてやりたいって思ったんだ。


でも今はもう、その姿を見ることは出来ない。