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「ほらほら、何躊躇ってんの?早く入ろうぜ!」


そう言って、袖をぐいぐいと引っ張られる。


ハッとして顔を上げた。

無意識の内に現実逃避していたらしい。


前には、僕の部屋。

隣には、兵藤くん。


「……中、入ってくの?」


恐る恐る隣の彼を見上げ、尋ねる。


「そりゃあ、咲都と同室の子にも挨拶したいし」

「そっ、か……」


誰か、助けてください。

そして、僕の隣の転校生、もといストーカーを、今すぐ消してください……。