*** 「ほらほら、何躊躇ってんの?早く入ろうぜ!」 そう言って、袖をぐいぐいと引っ張られる。 ハッとして顔を上げた。 無意識の内に現実逃避していたらしい。 前には、僕の部屋。 隣には、兵藤くん。 「……中、入ってくの?」 恐る恐る隣の彼を見上げ、尋ねる。 「そりゃあ、咲都と同室の子にも挨拶したいし」 「そっ、か……」 誰か、助けてください。 そして、僕の隣の転校生、もといストーカーを、今すぐ消してください……。