「よろしくなっ」

隣の男子がさっそく声をかけてきてくれた。

「よろしく!」

よろしくな、の「な」がなんだか新鮮だった。

今まではよろしくお願いします、とか、よろしくお願い致します、とか。

堅苦しいのばっかりだったから。


「よろしくね、麗ちゃん。」

「うん。よろしく!あの……」

「あっ、私、水無月 柚子(ゆずこ)っていいます。よろしくね?」

「うん、よろしくね!あと、あたしのこと麗、でいいからね?」

「うん分かった♪じゃ私も柚でいいよ!」

「柚!」

「麗!」

「あはははっ」

二人で声を合わせて笑った。


柚は優しくて、おしとやかで、それなのに人を引き付ける魅力があふれてて。

あたしのあこがれの人だった。