初日。

あたしは緊張しつつドアをガラッと開けた。


公立の学校ってなんかすごいなぁ……。

床だって木だし。

前は大理石だったし。


緊張を紛らわすためにそんなことを考えた。


クラスの人の顔を見ると、

80個の目があたしを睨んでいるように見えた。


胸騒ぎを覚えた。



でも、そんなのホントに一瞬でみんながくるっと笑顔に変わった。


「転校生だぁ~!」

「すごいねぇ!髪長い!」

「ってかなんか美人だねぇ」



「えっと、福原 麗です。新しい友達をたくさん作りたいと思いますっ」


「はい、では福原さん、あそこの一番後ろの席に座って下さい。」

「はい」


あたしが政治家の娘なのは黙っていた。

ここではあたしは贔屓なんてされたくない。


贔屓って「されたい」って思ってる人いるかもしれないけど、

一人だけお菓子貰ったみたいななんか、そんな居心地の悪さがある。

そんなのがずっと嫌だった。


でも、いまさらあとには引けないって思ってた。

みんなと同じ扱いって嬉しい。