新しく来たばぁや……じゃなくて、住み込みの家政婦さんは、
若くてきれいだった。
でも、なんだか仕事が雑で料理もあんまりおいしくなかった。
あたしは家政婦さんがドンドン嫌いになっていった。
そして、月曜日。
あたしは朝は普通の恰好で家を出て、近くの公園のトイレで
服を着替えた。
リボンを少し緩めて、スニーカーを履いて、かつらをとると、
あたしがあたしじゃないみたいで、
楽しくて、嬉しくて。ちょっぴりドキドキした。
トイレの鏡を見るとあたしは完璧な「不良」。
不良なんてあったこともないしちょっと怖いけど、
それでもあたしは不良にあこがれを抱いていた。
高鳴る胸を抑えて学校に行くと、
まず友達が「えっ、福原さん?うそでしょう。そんな恰好、先生に止められますよ?」
と注意してくれた。
でも、そんな注意聞かない。
だって、あたしはお父さんを困らせるためにやってるの。
お父さんの政治家としての評判を下げるために。


