ばれるかな……。
なんて怖かったけど、全然そんなことはなくて、
お母さんが「心配したのよ。早く手を洗ってきなさい。清美さんがお夕食作ってくれてるわよ」
と言っただけで終わった。
清美さんというのはうちのばぁやで、結構年だけどしゃきしゃきしてて、
炊事、洗濯、掃除、裁縫まで清美さんがやってくれている。
あたしが小さいときはあたしの世話もしていたそうだ。
あたしもお父さんやお母さんなんかより尊敬している。
「ただいま」
と声をかけると、清美さんは
「おかえりなさいませ。今日は何かいいことがあったのですか?」
と聞いてきた。
あたしは驚いて、
「えっ!?どうして?あたしそんなににやにやしてた!?」
「いいえ。でも目がかがやいています。もちろん、いやな意味ではないですよ?好きな方でもできたのですか?」
「好きな人って……清美さん、あたしが通ってるのは女子校だよ?」
「あら、そうでしたか。失礼いたしました。」
清美さんはシャキシャキしてるはずなのにたまに「あれ?」っていうときがある。
そういうところもすごく可愛いと思う。
「お嬢様、なにかありましたらすぐにおっしゃってくださいね。どんな決断でもお嬢様が決めたことなら私応援致しますから。」
「ありがとう、清美さん!でも、大丈夫だよ。今は。」
「そうですか。それでは私はお風呂の掃除に行ってまいります。」
「頑張って!」
そしてその夜。


