「あっ、あいつが来る時間だよッ!早く!」 さっ、と散らばって「いつもの朝」を演出する。 その時間になっても福原は来なかった。 「アレ……?」 「来ないね。」 それからしばらくたっても来ない。 授業開始のチャイムが鳴った。 「先生、福原さんはお休みですか?」 「福原さんは……そうね、おやすみよ。」 「そうですか。ありがとうございます。」 聞いた子はこっちを向くと「いえいっ」と小さくVサインして見せた。 あたしの顔にも自然と笑顔が広がった。 今日は、今日だけは解放される……。