ACcess -弥猛-

動こうとしていたｷｱﾛは体制を崩しそうになり、彼女は私を掴んだ。
「ひ、人だかりが多くて…友達の所から弾き出されちゃって。
　それにそこまで戻れなくなっちゃって…。」

私はよろけそうになりながら聞いた言葉に耳を疑った。
「え？」
「輪の中心に居るのは友達です…。
　えと…その、何ですか？蜂？も…。」

少し思考と動きが固まる。
輪の中心に居るのは友達？
蜂も？
「…って、事はあの三人は友達？」
「だって…あ、ｱﾘｽもしかして。」
「…何？」
ｷｱﾛはﾊﾟｰﾃｨ内のﾁｬｯﾄでこうﾒｯｾｰｼﾞをよこした。

最近噂になってる子って…。

あぁ…そうか、なるほど。
…なら、いい事思い付いた。

私は彼の肩を叩いた。
「まぁ、頑張りなさい。」
「じゃあ、うちらが手伝ってあげる。」
そう言ってｷｱﾛは微笑んだ。

私は右に、彼女は左に向くと詠唱を始める。
そして術を一気に放つ。

花びらを纏った綺麗な少女と、小さな妖精がそれぞれ現れた。
木属性の森の妖精達はﾆｺﾘと笑うと、光と花のｼｬﾜｰを出した。
ﾀｳﾝを駆け巡った後、空に吸い込まれるように消えていった。

それに気付き、ﾀｳﾝ内にどよめきが走る。
「何？ｲﾍﾞﾝﾄ？」
「どうした…？幻獣？」
「あれって最高呪文じゃない!?」

それもそうか…。こんな所で最高呪文の幻獣が駆け回るなんて夢にも思わなかっただろう。