ACcess -弥猛-

呪術士は足が遅く、同じ角度になるようにｺﾝﾄﾛｰﾗｰのｽﾃｨｯｸを倒しても、剣士の方が若干速度が速い。

ｲﾒｰｼﾞ的にｼｰﾌが一番ｽﾋﾟｰﾄﾞが速いのはどのｹﾞｰﾑでも一緒なんだろう。

しかし戦闘中のｽﾃｰﾀｽとしてじゃなくて、普段の移動のｽﾋﾟｰﾄﾞにも影響するのは少ない…と思う。

今私がﾌﾟﾚｲしてるMMORPG…、ｸﾛﾌｧﾝはこの世界の主人公である全てのﾌﾟﾚｲﾔｰが、平等に存在できるように配慮されている。

職業ごとの劣等も一つの個性としてﾛｰﾙ、演じる事が出来る。

ﾘｱﾙのようでﾘｱﾙではない、そんな世界。
一定のﾙｰﾙの中、自由に動き回るという小さな矛盾が存在する…そんな世界。

黙ってｱﾀｼの話を聞いていたｱﾘｽが口を開いた。
「まだ何も繋がってない。部屋も穴も…。そこにあるのは未完成の獣道…。」
難し過ぎる言葉にｱﾀｼは眉間に皺を寄せる。
「私達は…存在を知らなくてはならない。」

少し悲しそうな、寂しいような顔だった。

それはｱﾀｼには出来ない顔だった。

ﾘｱﾙでもここでも。