ACcess -弥猛-

特に何かの収穫があったでもなく、ダンジョンの出入り口まで帰ってきた。

噂はデマだったのか、それとも運が悪かったのか。
それとも…。

今回は一度タウンへ帰ることに。
戻った途端、アタシは少し遠慮がちに聞いてみる。
「…アリス?」
「なぁに?」
「アリスはあの時、どこで何してたの?」
「あの時ぃ…?」

一方アリスはあまりなんとも思っていなかったのか、気の抜けた返事が返ってきた。
「はぁ…?」
「あの二手に分かれた時だよ!」
「あぁ…。その時…。
 何も、なかったわよ?」
遠くを見つめた。
余りにも自然な仕草だから見入ってしまう。
「真っ暗の中を歩いて行ったら光が見えた。
 戦闘体制に入って、攻撃しようとしたら襲ってきて、更にスキルを出した…それだけよ。」

別にどぉって事もないわよ。
そう言うとホームの方へ歩き出した。


感情が読み取れない。

そんな時は少なからず焦っている時。
もしくは思い通りに行かない時。

ボーっとしつつ、アリスの後ろ姿を見ながら、アタシもその時を思い返した。

来た道を戻れと言われ、少し迷ったが走って戻った。

あの階段の所…。
そうだ、反対側の通路。
その先の暗闇からアリスは現れた。

んと…。
と言っても攻撃されたから反撃しただけで…。

あれ?

なんか思い出せそう。

走って戻った。
そんで、先に攻撃された。
それは…見たことない黒いものじゃなかった…?

アリスは、今なんて言った?