ACcess -弥猛-

最後の階へと降り立ったアタシ達。

「…意外と、普通ね。」
「まぁ、いきなりなんかあってもねぇ…。」

階段を降りた先はT字路になっていた。

右か、左か。

「下手に二手に分かれない方がいいわね。
 こっち。」

アリスはアタシの腕を掴んで引っ張った。
「なんで?」
「そんな気がするから。」
「当たった試しあるの?」
「無いに決まってるでしょ。」
「…。」

恐い恐い。


右手はしっかり剣を握っていた。

いつ何があってもいいように。それはまるでお守り変わり。

リアルのアタシのコントローラーを握る手は汗ばんでいて、何度も握り直す。
それに答えるように、キアロも何度も剣を握り直す。

静かで呼吸と心臓の音しかしないような気がした。


特に部屋に行き着く訳でもない。

まるで迷路のような道を三分ぐらい進んだ時だった。
「…ちょっと待って。」
アリスは立ち止まった。

急に声を発せられて、アタシの肩はビクリと反応した。