ACcess -弥猛-

少しマイナスになった気持ちを振り払う為に、笑顔で質問する。
「ねぇ、アリスのモチーフって…やっぱり不思議の国のアリス?」

背中の真ん中まで伸びた髪、イラストや挿し絵によくある金髪ではなく薄い紫色だが、光に当たるとキラキラしていて、さながら人形の様。

頭の上に乗せた、レースの付いた髪より濃い紫のカチューシャ。

ワンピースとエプロンを想像させる、可愛いフォルムは童話の中にある挿絵をイメージさせる。

アリスは自分の装備を見回すと口を開いた。
「これは…正装よ。」

苦笑いをした後、私に背中を見せた。
「燕尾服…って分かる?」
「えーっと…指揮者とか、サーカスの団長みたいな人が着てるヤツ?」
「…サーカス?うーん…そうね。そんな感じ。
 それを私はイメージしてる。でも、そうね…ベースは不思議の国のアリス。」

彼女はクルリと一回転して見せた。

後ろから見れば、アリスの装備はロングスカートみたいだ。

でも前から見たら、上半身はコルセットをした貴族のようで、下半身は足の付け根までしかないパンツで、まるでマントを付けてるみたいだった。

ちょっとしたアンバランス。

しかしそれが、より一層彼女の優雅さを引き立てていた。