ACcess -弥猛-

それだけ?と聞くと、首を振る。
「それでジャンヌとシャルルは幕僚達から離れ、二人きりで話をすることになったの。
 そして彼女は彼に、“声”から授かった、シャルルの王としての正統性を証明する秘密の話をしたと言われているわ。」

思い出してる…と言うより、まるでその光景を見た事あるような話し方だった。
「これはシーニュに関する話であったんじゃないかと言い伝えがあるの。」
「シーニュ?」

難しい話に難しい単語。
何となく分かったけど、聞き慣れない言葉に興味を持った。
「王太子の兆候のことらしいわ。」
「…って、何?」
「うん…。彼女は彼女自身の処刑裁判でも、この時の秘密の話についての内容を頑なに拒み続けて、どんな内容だったのかは不明なの。」
「…じゃあ、どんなものか分からないって事?」

アリスは空を仰いだ。
「そうよ。永遠の謎ってわけ。
 きっと誰にも話さないという約束をしていたのね。」
「…ふぅん。」

「でも、オルレアンからイギリス軍を追い出したいので、軍隊を貸して欲しいと申し入れたとされている話もあるの。」
「そうなんだ…。
 うん、そっちの方がしっくりくる!」