ACcess -弥猛-

「…どうして、そんなに居場所が欲しいの？」

「…。
　現実にｱﾀｼの意味はない。
　だから、ｱﾀｼはいない。」


少し微笑んだまま、彼女はﾏｼﾞｯｸﾋﾞｰﾙのｼﾞｮｯｷを指でつっつきながら話始めた。
「ｱﾀｼは、消えろって言われたの。死ねばいいって。
　だから、ﾘｱﾙの世界に私は居ない。存在しない何かなの。
　少しでもどうにか意味になれば、ｱﾀｼはこの世界に理由ができる。
　理由ができれば、ｱﾀｼはこの世界で必要とされて、存在する。」
「…答え難かったらいいんだけど、もしかして…いじめ、られてたの？」
「違うわ。ｱﾀｼがそう望んだのよ。」

いきなりの告白にびっくりして、あんなに高ぶった気持ちはどこかへ飛んで行ってしまった。
今度は私が呆然と彼女を見る番だった。


彼女はﾏｼﾞｯｸﾋﾞｰﾙを掴み、一口飲んだ。
「でも本当は、仲良くしてた子がいじめられてたの。
　助けたらｱﾝﾀもいじめるって言われて…でも、ｱﾀｼはそれを望んだ。
　…ｱﾀｼは、その子を助けた気でいた。でもただそれは、ｱﾀｼに標的が移っただけだった。」

遠い目、というのだろうか。
彼女は何かを思い出しているかのようだった。