――…‥


「沙菜、泣くな」

ゆっくりと…夫の手が、いつの間にか流れていた頬の涙を話を終えたと思ったのか拭った。


「話してくれて嬉しい、ありがとう」

『いえ…まだ終わっていないのです』

「どうゆうことだ?」

『…巧哉様が今もなお李由姫様を愛していらっしゃるから』



巧哉様は変わらず姫様を愛している



『姫様の“自由”に巧哉様は“縛られ”てしまったのです。巧哉様の時は進むことを知りません…いや、それさえも望んでおられないでしょう。今も姫様を想い生きておられます』