『まだ店の殆どは開いておりませんが町を見られますか?』

「はい、目に焼き付けておきとうございます」

嬉しそうに…悲しい言葉を仰る李由姫様を思わず抱き締めると、少しお顔を赤らめて私の背中に腕をまわす。そんな時間が永久(トワ)に続けば――と、心の底から願った


『さぁ、行きましょう?』

「はい」


まだ繋がれる手は温かく……
ただ、この手を離したくない


「巧哉様? 私……」

『どうされました?』

握る手に力が込められる

「こんなに幸せなのは初めてでございます」

―――儚げで美しい

そう、思った。