<side 沙菜>

―――時は遡(サカノボ)り五年前


国と国は争い、勢力を奪い合っている時代の最中…最も勢力のある大きな国の将軍の娘であったのが私のお仕えしてる李由姫様でございます。
ご子孫の中でも際立って美しかった為かお父上様は李由姫様をたいそう可愛がり、その寵愛ぶりは町に噂が回るほど有名でした。
しかし、それが幸か不幸か……李由姫様は一歩も外に足を踏み入れたことが無かったのです。

『李由姫様、お父上様がお呼びです』


姫様専属の女中である、私…沙菜は李由姫様のお父上様の遣いから言われ姫様をお呼びしますと

「沙菜…父上は何と?」

『何でも、来客人が来ているので姫様に挨拶をとのことです』

「行きとうない…私(ワタクシ)は父上の人形でも、ましてや飾りでもないのに」