「お若いのん…えらい重い荷物担いで、何処へさ行くのかいな?」

城があった場所から、幾日か歩けば辿り着く…外れにある田舎。年に一度の姫様と逢いに戻った後の何回目かの出発に不意に物思いに耽る自分にかけられたら声。

しわがれているわけではないがご老人であることは分かる。無視することは到底しようなんて思ってはいなかったが、何となく独り…いや、一人きりで姫様のことを想いたかったのだが、振り向くとそこには想像よりも幾分か若いご老人が立っていた。

『はい、今度は北西の方角に行ってみようかと思いまして』


―――この出会いはきっと