そりゃそうだ。持ってない訳じゃないけど、渡せない。
「で、でも、これは生活する為に必要なお金で…」
この春から初めて一人暮らしをする事になったので、このお金を渡すと生活出来なくなる。せっかくおばあちゃんが持たせてくれた大切なお金なのに。
だが先輩の一人が無理矢理、夢の鞄を奪おうと手を伸ばして来た。
「そんなの関係ねぇよ!早く出せ!」
「や、やめて下さい!」
夢も必死に抵抗するが、やはり力では敵わない。