「そこ
 アタシの席。」



すぐそばで
ハスキーな女の声。


驚いて振り向くと

長い黒髪をなびかせた
無表情の女が立っていた。


彼女は私を睨み付け
早くどけよとでも言うように
見下していた。


座っているからというのは
もちろんなんだけど

遥か上空から
地面の虫けらを見るような

そんな
冷たい目だった。