「散歩行かない?」 荷物まとめも落ち着いて お茶を飲みながら 一息ついていたときだった。 そう言って立ち上がる愛花に 私は無言でついていった。 夜の浜辺には 誰もいなかった。 風と波の音と 私たちの砂を踏みしめる音だけが 辺りに響いていた。 海には 月明かりが揺らめいていて 思わずため息が出るほど 綺麗だった。