振り返ると
そこには川口がいた。


口に人差し指を当て
私の腕を掴んだまま
低い姿勢で人並みを
掻き分けて行った。


訳がわからない私も
とりあえず同じように
姿勢を低くして
あとを追った。



すこし進んだところで
川口は止まった。


簡易ステージの前で
ごった返しになっている
人の列の後方。