「王子様は、この花が好きだったんです」 そう言って彼女は窓から外を眺めた……見下ろすとすぐ下に海が見えた。 白い砂浜と何処までも碧い海のコントラスト。 風のない町で微かに漂う潮の香り。 甘い花が揺れるのとは違った、爽やかな空気。 ――悠かに凪いで逝く海。