仮面舞踏会【短編二編】

(確かにあの時、京香は私のことを祝福してくれていた・・・・

でも、もしかしたらなんとかして私から駿を奪おうとしていたのかもしれない・・・・

ええ・・そうよ!!そうに違いない・・・

きっと私を嫌いになるようなことを駿に言ったに違いないわ。

とにかく確かめなくちゃ!)

絵梨香は、駿と京香がレストランで食事をする光景を想像すると

怒りでいっぱいになった。

そして再びコートを着ると急いで家を出た。

それは、駅の近くにあるレンガ色の大きなマンションだ。

インターホンを押す。

『私よ・・・絵梨香』

オートロックが解除されると、絵梨香は急いで4階の京香の部屋へ向かった。

京香は不思議そうな顔をして中へ招き入れた。

『どうしたの?こんな時間に』

『さっき由佳から聞いたんだけど、今日 駿と一緒にいたの?』

『え?・・・・偶然会ったのよ!』

『偶然会って食事なんてするものなのかしら・・・』

『もしかして疑っているの?』

『いいえ・・・疑ってなんかいないわ!

でも彼とあまり親しくしないでほしいの。

彼はね、優しいから誘われたら断れない性格なのよ!勘違いしないでね。

こんな時間にごめんなさい!では失礼』

絵梨香はドアを開けて帰ろうとした。

『ちょっと待って!』

京香は絵梨香の腕を掴んだ。

『離してよ!!』

『ねえ!絵梨香・・・あなた真剣に結城さんのことを好きなの?』

『当然でしょ!私たちは結婚の話までしているのよ。』

『そう・・・・・でもね、世の中には 

もっと絵梨香のこと大切にしてくれる人がいるかもしれないよ』

『だって彼のこと・・・

京香だって好きだったじゃない!

すごく人間味があるって言ってたよね』

『そうだけど・・・』

『京香・・・・私と結城さんのこと祝福してくれたわよね』