仮面舞踏会【短編二編】

しかし階段を上る者もいれば、下る者もいる。

二人の華々しい写真の表紙には ”人気デザイナー梓麗の弟に詐欺容疑!

川島容疑者は逃亡中!”

と小さく書かれた見出しがあった。

階段を上る者と降りる者のすれ違う瞬間のように・・・・・・・




その夜のこと占い師のところへ ひとりの男が現れた。

その男は人目を避けるように深い帽子をかぶっていた。

『占ってくれないか?』

老婆がその男の顔を見る。

端整な顔立ちで背が高くハンサムな青年だが、いつ髭を剃ったかわからないほどだ。

『あなたさまには必要ないかと思います。』

男は怒った顔をしたが 再び都会の人ごみの中へ消えていった。

(あなたさまには必要ないかと思います)

それが意味のある言葉とも知らずに・・・・・・・・





The END


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「グノシエンヌ」というコトバは、「知る」という意味のギリシア語に基づいてサティが作った造語です。
曲にフランス語で演奏者に指示がつけられているのですけど、それがまたサティらしく、「非常に艶やかに」はまだ良いとしても、「疑って」「思考の端末で」「あなた自身をあてにして」「一歩一歩」「舌の上に」
曲のタイトルにしても、こういった指示(サティにはけっこう、謎めいた指示が多いです)にしても、サティはピアノの詩人といった感じがします。
MIDIサイト
【ノクターン】より


☆この短編小説に込めた思い☆

この小説の明と暗―――――

明は真実の愛。

暗は罪と罰。