仮面舞踏会【短編二編】

ステージに上がると、

真奈美に一礼をしてピアノの前に座った。

柔らかな優しい。

朝の白銀の世界のような透き通った美しい音色・・・

(!!!この曲は・・・・・)

数日前に聴いたあの曲。再び遠い過去の記憶が蘇ってきた。

(高柳さん・・・・・)

真奈美は、驚きと溢れる想いで身動きすることも出来なかった。

演奏が終わると、静まり返ったホールには 彼の足音だけが響いた。

『名前も顔も、全て嘘をついていてごめんなさい。

そして何よりも あの時、酷いことを言ってしまって

謝る機会もないまま離れてしまったこと・・・・ずっと後悔していました。

あの時、友達にからかわれて、

ついあんな事言ってしまいました。でも本当はずっと好きだった。

今も、ずっと。

この曲は、いつかどこかで君が聴いてくれたらと願いを込めて作ったんだ。

でも今夜 こうして君の前で演奏出来てよかった。

こんなに時間が経ってしまったけれど、心から謝りたい。本当にごめんなさい』