仮面舞踏会【短編二編】

帽子を深くかぶった里緒が絶望したような口調で言う。

『今日も会えなかったらどうしよう。

私はモデルとして二度と人前に出られない・・・

昨日も一昨日もいなかったんでしょ。きっと場所を変えたんだわ』

その時二人の目の前を横切る女性がいた。

波打つ美しい髪のさっそうと歩く姿・・・・

『あれ?あの人・・・・あの占い師のことを、

よく当たるっておしえてくれた親切な人よ』

『え?どこ?』

里緒が見たときには、もう女はいなかった。

『おかしいな・・・見間違いだったのかしら?』

角を曲がって袋小路に着くと、そこには占い師の老婆がいた。

老婆は、こちらが話しかける前に話しかけてきた。

『お待ちしておりました。まあ・・・こちらへおかけなさい』

見ると最初からわかっていたように椅子が二つあった。

『やっと会えたわ・・・・

昨日も一昨日もあなたに会いに来ましたが会えなくて困っていました』

『あなたが本当に私を必要だと思ったときには、

いつでも会えるはず・・・・きっと必要ではなかったのでしょう』

『そんな・・・・薬が無くて本当に困っていました。でも今日は、

他にも大変なことが起きてしまって・・・』

『こちらのお嬢さんは、あなたの薬を飲んでしまったようですね』

『そうなんです!お願いです!何とかもとの姿に戻してください』

里緒は、占い師に必死に泣きついた。