仮面舞踏会【短編二編】

3ヶ月前の満月が綺麗な夜、

京香と一緒にディナークルーズへ行ったときのこと・・・・

初めてのディナークルーズは想像以上に素晴らしく

湾岸都市の夜景が水面に映って幻想的な風景に酔いしれていた。

京香の手首には、金にダイヤのブレスレットがキラキラ輝いている。

『どうしたの?それ・・・・・

もしかして彼?ほら京香の好きな人・・・会社の専務だっけ?』

『まさか!これは自分で買ったの・・・・

あの人はただの憧れで、恋人なんて考えたこともないわ』

『でも もし恋人になったら嬉しいでしょ』

『確かに嬉しいけれど・・・・見ているだけで充分なの』

『何もしないで初めから諦めてるなんて 私には信じられないわ』

テーブルを挟んで京香と話がはずんでいたとき、突然声をかけられた。

『黒木京香さん・・・・今晩は!』

驚いた京香は立ち上がってお辞儀をした。

『こ・・・こんばんは!』

『こんな所で会うとは奇遇ですね!そちらの方はお友達ですか?』

『はい・・・片倉絵梨香さんです』

『はじめまして。結城駿です。』

絵梨香も挨拶をした。

『はじめまして・・・片倉です』

結城 駿は、再び京香のほうを向き

『では仕事がありますから これで失礼します』

駿が行ってしまうと京香は夢見心地の瞳をしながら静かに座った。

『ねえ!京香!あの人・・・確かユウキって』

『そう・・・・・・・結城専務』

『もしかして・・・京香の好きな人って社長の息子?』