仮面舞踏会【短編二編】

『もしもし・・・』

『もしもし真奈美さんですか?川島です』

『あ・・・・あの・・里緒から聞きました。あなただったのですね?』

『僕でがっかりですか?』

『いいえ!そうではなくて・・・不思議な出会いに驚いてしまって』

『僕も同じです。そして あなたでよかった。あなたは僕の理想どおりの人です。

まるで絵の中から出てきた妖精か 天から舞い降りてきた天使のように美しい』

真奈美は罪悪感と不安でいっぱいになった。

本当の自分の姿を見て川島は何て思うだろう。

『私は・・・・・あなたが言うような美しい女性ではありません。

私の本当の姿を見れば あなただって私を好きにはならないと思います』

『そんなことはない!どんな真奈美さんでも、僕は君に一目惚れしましたよ』

真奈美は、もうそれ以上は何も言えなかった。

女性なら皆 嬉しい瞬間のはずなのに真奈美の心は複雑だった。

『よかったら今から会いませんか?』

『え?えぇ  喜んで・・・』

『すぐ迎えに行きますから、着いたら携帯に電話します』

真奈美は電話を切ると急いで部屋へ行き 

一度も袖を通したことのないパステルピンクの膝丈のワンピースに着替えた。

ハイウエスト切り替えのタックフレアーの白いコートを羽織ると、

眼鏡を外し鏡を見た。

真奈美のクローゼットには、一度も袖を通したことのない服で溢れている。

どれも上品なデザインだが、自宅の鏡は願望と現実を同時に映しだして、

どれも滑稽に見えた。