仮面舞踏会【短編二編】

真奈美はカップに紅茶を注ぎ 川島の前へ差し出す。

『どうぞ』

『ありがとう・・・なんだか緊張しますね。

女性の部屋なんて初めてだから落ち着かなくて』

川島は砂糖を入れながら顔を赤らめた。

真奈美はほっとしたのか自然に微笑むことができた。

『実は私もなんです・・・。』

二人は微笑み合うと紅茶を飲んだ。

『おいしい!僕はコーヒーよりも紅茶のほうが好きなんですよ』

『男の人ってコーヒー好きな人が多いと思っていたわ・・・』

『そういえば知人も皆 コーヒー好きばかりです。僕はかわっているのかな』

『いいえ!そんな意味ではなくて・・・私も紅茶が好きだから』

『紅茶には不思議な魅力があると思いませんか?

よく行く喫茶店にハイビカスの紅茶があるんです。

ハイビスカスの花びらには媚薬効果があるんですよ。

今度一緒に行きませんか?』

一瞬ドキッ!としたが、すぐその場から逃げたくなった。

『は・・・はい』

『約束ですよ』

真奈美は気が重くなった。

突然インターホンが鳴ったのでテーブルの上の子機を見ると、里緒が映っている。

里緒と早瀬は仲直りしたらしく 

真奈美の好きなパヴァーヌの紅茶のシフォンケーキを買ってきてくれた。

四人は二時間ほど楽しいひと時を過ごし、

川島は明日までに仕上げなければいけない仕事があるからと言って先に帰り

里緒と早瀬は昨日見るはずだった映画を見に行ってしまった。

ひとり とり残された真奈美は、さっさとテーブルの上の食器を片付けると

再び鏡を見た。

そっと頬に手を触れてみる。本当に私じゃないみたい 

今の私なら市ノ瀬さんだって好きになってくれるかも・・・。

その後真奈美は、携帯でパソコンに届いたメールをチェックした。