紅龍 ―1―






暗い倉庫の中に奴の笑い声だけが響き渡る。



「………――――っ。」


奴の笑い声という最悪の目覚ましで意識を取り戻した俺。



ここは"いつか"の倉庫。



「あれ?起きた―…?」



奴の気持ち悪い笑みか俺に向かう。


「架可ァ―…。」



俺は奴を思いっきり睨み付けた。


色んな意味を含めて。


それをどう読んだかは知らないが架可は俺に近づいてくる。


「ふんっ、まっ、そんなに怒んなよ紅花。」


俺を紅花と呼んだ奴は一瞬、顔を歪ませたかと思えば口元を上げいつもの顔に戻る。


一歩一歩と俺に近づいてくる架可。

「俺を…私をその名で呼ぶな!!!紅花は死んだ。私は紅花じゃない。蘭だ。」


それを止めるかのように叫ぶ私。


「あっ、そっか。俺が殺したんだもんね―…隼人君と一緒に。」


こいつは挑発でもしているのだろうか。



私の顎を持ち上げ喋る架可に鳥肌が立った。

「にしても…まさか青虎を潰すためにとった囮が紅花とはねェ―…流石の俺も驚いたよ?」


そう言った架可の顔はさっきとは別物。

言うならば獲物を狙う獣。




奴の言った言葉―…