でもそれは仕方がない。


だってずっと探していた女が目の前にいるんだから。


目の前にいるレンはもうかつらをとっていて黒に紅いメッシュの綺麗な髪が表(あらわ)になっている。


瞳の色も紅。




まさしく紅花だった。



そんなこと思いながらレンを見つめていると急にレンが話しだした。



「ごめんね…リュウ。黙ってて。」



いっきに重くなる空気。


それも気にせず話すレン。


「リュウが思っているとおり。紅龍の元総長、紅花は私。私はレンじゃない。黒瀬蘭なの…。」


その時のレンの声は震えていて弱かった。


だから―…


「…―レン?」


そんなレンに何をしていいか分からなかった俺はただレンの名前を呼んだ。