「ねぇ、おじさん」
「何?」
「この先生、超綺麗だね。っていうか、可愛い」
クラス担任の写真を指差して、あたしは言った。視線を上げれば、瞼を伏せて写真を見ているおじさんの顔がすぐ目の前にあった。
ああ、もう、三つしか違わないのに。周りの男よりずっと大人っぽくて。
「そうだね、可愛いよね。懐かしいな、よくクラスの奴にからかわれてたんだよ、この先生」
「へっ、あ、あぁうん。そうなんだ」
しまった。ついつい魅入ってた。だっておじさん、睫長いんだもん。
あたしは慌ててアルバムに視線を戻し、口を開いた。
「からかわれてたって、どんな風に?」
「うーん、まぁ、良い意味でね。新任で若かったし、よくクラスに馴染んでたよ」
「おじさんはからかったりした?」
「くまちゃんは、そんなに俺のことが気になる?」
「えっ」
不意に話を変えられて、言葉を失った。思わず視線を上げれば、チョコレートのように甘い瞳とかち合う。
数秒間、見つめ合った。あたしはぽかんと口を開けて、底の無い深い色をした彼の眼差しに吸い込まれそうになる。
彼は唇を引き伸ばして、薄く笑った。
「はは、冗談だよ。この先生はね、水泳部の副顧問だったんだ。俺は部長だったから、よく練習メニューのこととかで話をしたよ」
「おじさん、部長だったの? ……あ、」
また質問してしまったと、つい一時停止しておじさんを見つめる。すると、彼はまた可笑しそうに笑った。
「そうだよ。しかもね、くまちゃんみたいに素直だから、凄くからかいやすくて、面白かった」
何それ、じゃあおじさんは、あたしのことをからかって楽しんでる訳。
あたしはおじさんを睨み付けた。彼はそんなあたしに、緩い笑みを浮かべて。
「可愛いって意味だよ」
「何?」
「この先生、超綺麗だね。っていうか、可愛い」
クラス担任の写真を指差して、あたしは言った。視線を上げれば、瞼を伏せて写真を見ているおじさんの顔がすぐ目の前にあった。
ああ、もう、三つしか違わないのに。周りの男よりずっと大人っぽくて。
「そうだね、可愛いよね。懐かしいな、よくクラスの奴にからかわれてたんだよ、この先生」
「へっ、あ、あぁうん。そうなんだ」
しまった。ついつい魅入ってた。だっておじさん、睫長いんだもん。
あたしは慌ててアルバムに視線を戻し、口を開いた。
「からかわれてたって、どんな風に?」
「うーん、まぁ、良い意味でね。新任で若かったし、よくクラスに馴染んでたよ」
「おじさんはからかったりした?」
「くまちゃんは、そんなに俺のことが気になる?」
「えっ」
不意に話を変えられて、言葉を失った。思わず視線を上げれば、チョコレートのように甘い瞳とかち合う。
数秒間、見つめ合った。あたしはぽかんと口を開けて、底の無い深い色をした彼の眼差しに吸い込まれそうになる。
彼は唇を引き伸ばして、薄く笑った。
「はは、冗談だよ。この先生はね、水泳部の副顧問だったんだ。俺は部長だったから、よく練習メニューのこととかで話をしたよ」
「おじさん、部長だったの? ……あ、」
また質問してしまったと、つい一時停止しておじさんを見つめる。すると、彼はまた可笑しそうに笑った。
「そうだよ。しかもね、くまちゃんみたいに素直だから、凄くからかいやすくて、面白かった」
何それ、じゃあおじさんは、あたしのことをからかって楽しんでる訳。
あたしはおじさんを睨み付けた。彼はそんなあたしに、緩い笑みを浮かべて。
「可愛いって意味だよ」

