また、この部屋に戻って来てしまった。家具が少なく、どこか寒々しく感じる彼の部屋は、あたしの部屋と間取りは同じ筈なのに、全く別の所に来たみたいだ。
あたしの部屋、ちょっと散らかってるからかな。
そうやって壁一枚向こうにある自分の部屋を思い浮かべながら、夜に来た時と同じ、センターテーブルの前に座った。
すると床に付いた手の指先がこつんと何かにぶつかる。視線を落とすと、紺色の表紙をした本のようなものの角が、背後のソファと床の狭い隙間からはみ出しているのを見つけた。
夜に来た時は気付かなかった。それはまるで、隠すように置かれているようにも見えた。
あたしはそれをソファの下から引っ張り出した。予想通りの本の大きさと、左上に金色で描かれた校章のようなマークを見たあたしは、これは卒業アルバムに違いないと確信し、思わずにやりと口元を歪ませる。
キッチンの冷蔵庫を開けるおじさんの後ろ姿を確認し、躊躇う暇は無いと、あたしはすぐにアルバムの固い表紙を開く。
クラス別の顔写真の頁をパラパラと捲り、おじさんの名前を探す。
えっと、何だっけ、おじさんの名前。アサイ? アサクラ? 下の名前は……確か、キョウなんとか。
そうしておじさんの顔を探している間に上から部屋の明かりを遮る影が落ちてきて、急に傍に立たれた人の気配に、思わずビクリと肩を強ばらせた。
「ああ、それ、何処にあったの?」
あたしの部屋、ちょっと散らかってるからかな。
そうやって壁一枚向こうにある自分の部屋を思い浮かべながら、夜に来た時と同じ、センターテーブルの前に座った。
すると床に付いた手の指先がこつんと何かにぶつかる。視線を落とすと、紺色の表紙をした本のようなものの角が、背後のソファと床の狭い隙間からはみ出しているのを見つけた。
夜に来た時は気付かなかった。それはまるで、隠すように置かれているようにも見えた。
あたしはそれをソファの下から引っ張り出した。予想通りの本の大きさと、左上に金色で描かれた校章のようなマークを見たあたしは、これは卒業アルバムに違いないと確信し、思わずにやりと口元を歪ませる。
キッチンの冷蔵庫を開けるおじさんの後ろ姿を確認し、躊躇う暇は無いと、あたしはすぐにアルバムの固い表紙を開く。
クラス別の顔写真の頁をパラパラと捲り、おじさんの名前を探す。
えっと、何だっけ、おじさんの名前。アサイ? アサクラ? 下の名前は……確か、キョウなんとか。
そうしておじさんの顔を探している間に上から部屋の明かりを遮る影が落ちてきて、急に傍に立たれた人の気配に、思わずビクリと肩を強ばらせた。
「ああ、それ、何処にあったの?」

