アルコールと彼の指輪

 二十歳の誕生日というものは、こんなに単調に過ぎて行くものなのだろうか。十代を越えて、ようやく成人して、けれどあたしはつまらない毎日を変わらずに過ごしている。

 誕生日と言う今日はもう半日も過ぎてしまった。大学の食堂で一人食べるうどんセットは酷く味気ない上、ちゅるんと麺を啜れば、汁が跳ねて目に入った。
 高校の時の友達からさえも今のところ何の音沙汰も無し。一年の時は日を越えた瞬間に次から次へとおめでとうメールが届いたものだった。

 けれどやっぱり、高校を卒業して二年目ともなると、みんな旧友の誕生日なんて忘れてしまうようだ。今を楽しむのに精一杯、みたいな。久しく会ってないから分からないけど、大方そんなことだろう。
 大学は高校とは全然違って自由だし、ね。

 今元カレからメールが来たら、絶対に縒りを戻すと思う。
 それくらいにこの広い構内、友達同士でわいわい昼食を食べる喧騒の中に一人でいることは、正直凄く寂しかった。