ACcess -操-

「…ジル。」

クルクル回っていたそいつはピタリと動きを止めた。

「ジル、おいで。
 スカイが困ってるよ。」

パチクリ。
僕をしっかり見て瞬きをする。

「ほら、ジル…こっち!」

その声を聞くと、ピョンと僕の頭に飛び移った。
「…おぉっ!?」
水色のそいつは頭の上でクルクル回転する。


窓の近くの、日当たり抜群の場所にそれはあった。
どんな植物でもいいから育ててみろと、渡された時はもっと小さかった。

こっちに来てからそれがハーブだと知った。

バジル。

よく、料理にも使われているし、香りも好きだ。
「すげー…反応したぜ。」
「…。
 ってか、名前はジルでいいのかな?」
「名前付ける機能みたいなのあるのかな?でもあの人そんな事言ってないしなぁ…。」

ブツブツ何かを言う隣で、僕はまた小さく名前を呟いた。

そいつは気に入ったのか、今までよりも楽しそうに見えた。
「まぁ、いいじゃん!気に入ってるみたいだし。」
「んー…。まぁ、飼い主がそう言うならいっか。」
「へへっ!ジルよろしくなー。」
「ジル、もう俺の頭に乗るなよ!」
そう言って僕らはジルの頬っぺたを突いた。

ジルはただクルクル回転した。

分かってる。
ただのデータでも。君はこの世界で生きてる。

僕達と一緒に冒険しような。
これから、よろしくね。