狙ったように明花と甘木君は同時に言った。



私は思わず明花に駆け寄ってしまった。


羽須美も同じだったみたいで、明花の隣にいる。

「羽須美、ごめん。気分悪いよね。」

「全然。もう大人だもん。私、心は広いのよ。」

おどける羽須美は珍しい。

「絢子はありがとう。」

「ほ?」

ちょっと不覚だったので変な返事。

「10年前、言わないと後悔するって言ってくれてありがとう。今日すっきり出来たのは絢子のおかげ。」

10年も覚えてたんだ。





「じゃ、本当に、ばいばい。また近いうちに合おうね。」


明花は先に帰っていった。