秋になると考えないといけなくなるのが一つ。

進路。

一応進学校なので。


しかし私の周りはわりと行く道が決まってるみたいだ。

「羽須美はどうするの?進路。」
「私はSEになろうと思うから、そっちの大学に。」
「SE?」
「システムエンジニア。」
「ああ・・・」

 羽須美は元々機械にも理系科目にも強い。
物事を冷静に処理できるから適職かもしれない。


「明花は?」
「あたし?あたしは図書館司書になりたいの。古典が好きだから、国語の先生もいいなあ。」

「明花は国語からは離れないのね。」
「離れられないの。国語が無かったらあたし生きていけない。」

前に似たような言葉を聞いた気がする。




しばし沈黙。



「あ、私二人に言わないといけないことがあるの。」

珍しく羽須美が沈黙を破った。

「なになに?」






「私、木部君と別れたから。」




え?




「何か、思ってたような人じゃなかった。それに・・・。」
「それに?」
「向こうも他に好きな人ができたっぽいし。」




は?



明花が大きな声で叫んだ。

「何それっっ。浮気?信じられない。木部君。爽やかなスポーツマンだと思ってたのに。」

机を叩いている。    うるさい。


「違う。そうじゃないかな、って思っただけ。」
こんな状況でも羽須美は冷静だった。


私は

修が他の人を好きになったら・・・・


ありえない。


死んじゃうかも。



「あたしっ、頭冷やしてくる。」
何故か明花が一番ぷりぷりしている。