「神様って不公平ね。」
「は?」
 おしゃれな喫茶店でレモンティーを飲みながら言った私の一言に彼は間髪入れずに突っ込んだ。
「だから、神様は不公平って言ったの。」
「根拠は?」
 真新しいセーラー服の私と真新しいスーツの彼。周りからはどう見えるんだろう。
「援助交際かな」
「は?」
「私と修、周りの人から見ると援助交際に見えるのかな、と思って。」
「おい、神様がなんとかの話はどこに行った?」
「ああ・・・」
「ああって・・・」
修は苦笑いをした。少し困ったような顔・・・


この顔好き


やばい私Sかも。

いけない、本題に戻ろう。
「私、けっこう容姿には自信があるの。」
「知ってる。」
「目もパッチリ二重だし、色だって白いし、足も長いし、髪の毛だってつやつやだし、鼻筋も通ってるし、手足こんなに細いのにおっぱいだって大きいし、悪いけど完璧だと思うの。」
「そこまで思えるお前は凄いよ。」
でも

でも

でもね。

「私、この歳になって初めて敗北感を持ったの。」


修は興味深そうな顔をした。
「高校入って、友達ができたんだけどね・・・」
「お、よかったな」
「その子がね・・・」


4月


「ねえねえ、黒坂さんて名前なんて読むの?」
ぽやっとしていたら馴れ馴れしく声をかけられた。
今時珍しい、頭に団子が二つ、しかもご丁寧に赤いリボンがついている。
・・・高校生か?
でも、うちの学校の制服を着ているし、胸には校章がばっちり。ネームを見ると

前島明花

明るい花か・・・

この子のことは知らないけど、この子にぴったり。な、名前だと思う。なんていうか、馴れ馴れしく話しかけてくるあたり。 

「子は読めるんだけど・・・」
「あやこ。」
「あやこ?へええ。『絢子』ってあやこって読むんだ。綺麗な名前だね。黒坂さんぴったりだあ。あ、あたしの名前ね、『めいか』って読むの。よろしくね。」
『めいか』はにっこり笑った。

可愛い・・・

なんていうか顔はそうでもないけど、持ってる雰囲気っていうのかな、高校生にしてはガキっぽいけどすっごい可愛い・・・


「で、私には無いものだから、敗北感を持ったの。」
「へえ・・・」