(こんなしゃべり方したの、初めてだ。)


少しばかり、新鮮な気持ちになる。
でも、そのうちすぐに冷めていく。


(平岡 麻衣…どう見ても女だ。
任務の対象外…とは言い切れないけど、何かと使えるときには利用しようか…)


自分には、任務がある。
同年代の馬鹿と、遊んでいる場合じゃない。


(………くだらねぇ。)


内心、そう呟くと、それとほぼ同時に、朝礼の終わりを告げるチャイムが鳴った。


「じゃあ解散だ、解散ー
山崎、黒板掃除しとけよー」


「また俺ですか!?」


教卓の目の前に座っている男子に、そう言った担任は、出席簿らしきものを持って教室を出ていく。


「ご愁傷様だね、山崎。」


そう言った麻衣は、

「龍ちゃーん!!私お腹減ったアル!!!」

と叫びながら、出て行った担任を追いかけて行った。


「朝から騒がしいクラスでごめんなさいね。」


麻衣がいなくなり、すぐに話しかけてきたのは、比較的追いついた雰囲気の女子生徒だ。


「私、木村 妙子っていうの。よろしくね、朱鳥ちゃん?」

「うん、よろしく!」


私の雰囲気って、結構馴染みやすいのだろうか?

妙子と笑顔で話をしていて、そんなことを思う。

だがそんなことをを考えていても、頭の傍らでは、いつでも任務のこと。


(私も、ずいぶん“人離れ”してきたなぁ…)


任務のこととほぼ同時に浮かんでくる、その3文字。