欠如している・・・

引っ掛かった言葉を
掻き消すように
常盤さんは言う。

「ナギちゃん、君は
 たまにいい事 
 言うよね」

「でしょう・・・
 でも、チトセは
 振り向いて
 くれないけどね」

常盤の気持ちを弄ぶ
なぎの頭を、ひさぎは
軽く叩いた。

「ナギ、あんまり
 トキワを虐めんなよ」

「お前が言うな」

清々しい初夏の日差しの
元で、バスを待つ列の中
四人の笑い合う声が響く

こんな風に笑える時が
来るなんて思わなかった