黒紅花

新婦の瞳から零れ落ちたきれいな涙を、あなたはそっと指先で拭ってあげる。


「お前、謝るような事したの?」

「ううん、あの時の私は真剣だった!」

「そう、だったらいいじゃん

 もう忘れた

 だから、なぎ、お前も忘れろ!」

「うん」


なぎの頭を優しく撫でてあげる、ひさぎ。


「お前は、今までもこれからも
 俺のたった一人のかわいい妹
 
 何も変わらない」


『ママ
 
 僕達を捨てるの?』

小さな手を

小さな手が

握り締めた過去。

繋いだ手・・・

妹の泣き声・・・


「幸せに、なれよ」


斜め上を見上げ、涙を堪えるひさぎ。


「うん」


組んだひさぎの腕に甘える、なぎ。


「それでは、新婦の御入場です」


幼い頃に繋いだ手、今度は腕を組み二人は歩く。

そして立ち止まり、一礼をしてひさぎの腕を離れたなぎは常盤さんの隣に立つ。

お似合いの二人……そして、私の隣にはひさぎ。