黒紅花

内装をチェンジする為に、しばらく休業することになったカフェを友達の伝手で無料で貸してもらった常盤さん。

ちょっとしたお食事会を開き簡単にお披露目の場的に済ませるはずだったのに、それじゃあ何だか勿体ない!

急に決まったこの時に、精一杯のできることをしよう。

ウェディングドレスに、店内に飾られた造花を集めたブーケ。

お互いの左手薬指に嵌めてあるマリッジリングを外して、ここに結婚式が始まる。

出席者を御もてなしする豪華な食事もウェディングケーキもないけれど、寄り添い見つめ合うそんな二人から零れるキラキラと輝く笑みに、私達は胸いっぱいになり満たされる。


はじまりはじまり----

カフェの出入り口、なぎの隣に立ち腕を組み凛々しく佇むひさぎ。

あなたは急の出来事に緊張しているのか深く息を吐いた。


「ヒサ兄、だいじょうぶ?」

「ああ」

「ヒサ兄

 あの時はごめんね
 
 私のせいで居場所が……」