黒紅花

「うるせぇ、誰が泣くかよ」

「ヒサ兄、今なら誰もいないから
 泣いてもいいよ」

「バカ言ってんじゃねえよ

 ところで新郎はどうした?

 どこだどこだ?」


新郎である常盤さんが仕事で遅れていることを承知してるくせに、そんな風に言いながら私達を追い越してひさぎは洋館のカフェ内へと入って行く。

すると入り口付近で、ひさぎを取り巻く二人の女性……


「この度はおめでとうございます!」

「お噂は、かねがね伺っております」

「……!?」

「こんなに間近でお目にかかるのは
 確か二度目、光栄です

 やっぱり目元、ナギに似てるぅ」

「本当、キレイ
 これは女が放っとかないわ」

「あのさぁ、君達、何?」


行き場を遮られ少し不機嫌なひさぎの後ろからひょこっと顔を出した私に集まる視線。


「クミにカコ?

 ひさしぶりぃ」

「わぁー、チトセ
 あなた元気だったの?」