黒紅花

もう一度動き出す、私。

「チトセ」

床に座る私の手を取る、貴方の大きな手を見つめる私。

「……放して
 何度言えばいいの?
 放っておいてって、私言ってるの」

私の事を悲しく見つめる貴方の視線。

あの時の大人達の視線。

「そうでしょう?

 どうせあなたも私のこと
 バカだと思ってるんでしょう?
 
 この年で……本当バカだよね
 人生を誤った」

「チトセッ」

「少し考えればわかることだったのに
 遣る事遣れば子供は……」

「チトセッ、もういい!」

「できるのに」


ポタポタッと零れ落ちる大粒の涙。

貴方は私の事を、強く強く抱きしめて耳元で囁いた。