黒紅花

私の中に在り続ける悲しみがドッと溢れ出て、大切な貴方を傷つける。

これ以上、もう傷つけたくないのに、私は愛する人を傷つける。

それがとても悲しい……


貴方は、壊れないように私を抱き、落ち着くように背中を摩ってくれる。

「チトセ、大丈夫だ
 落ち着いて

 苦しかったな」


鍵を失くし

とぼけたふりなんて、本当のわたしはしていない。


苦しかったな……過去形?


私の中に宿る悲しみは、私にしか分からない。

誰も……

重い十字架を下ろすこと、かなわない、一生……

「心配しなくていい」

「何を……

 アナタに何が分かるの?」

「チトセ?」

「分からないでしょう?
 
 ううん、分からなくていいの
 分からなくていいから
 私のことは放っておいて」