黒紅花

過去の傷

過去の罪と向き合う場面----私は、いつも決まって逃げ出す。


ひさぎの腕から逃げ出せなくて、私は愛する人に抱きしめられながら声をあげた。

「いやー、放して」

貴方は私を抱きしめる力を強め、優しい声で言った。

「チトセ、話そう」

「イヤッ」

いろんなことが面倒で煩わしくて

誰にもこの傷に触れられたくないと、開きかけた心の扉にまたひとつ頑丈な鍵をかける。

そして、鍵を失くし、とぼけたふりをする。

「話すことなんて私にはない
 
 放して」

「チトセ」

『放して』

ひどいこと言ってしまってごめんなさい……

「ごめんなさい

 だけど話したくないの!」

私……話なんてしたくない。