黒紅花

「……」

「……だよな

 現に弱さから昔の女に逃げた俺のこと
 お前がそう思ってもしかたない

 たかが親に捨てられたぐらいで俺は
 いつまでも、ほんと情けない」

潤む瞳。

「ひさぎ、そんなこと……」

「俺は何も分かってなかった
 
 自分のことしか見てない……」

瞬きひとつしない貴方の瞳が赤くなるのと同時に、貴方の鼻先も赤くなる。

「ひさぎ?」

「俺はガキで、何も見てない」


貴方はポツリポツリ話すの。

独り言のように……

私の声など、貴方には聞こえてないみたい。


そして、貴方は近づくの。

もっともっと、縮まる二人の距離-----

ひさぎから逃げるように、私はその場に立ち上がろうとした。