黒紅花

靴を脱ぐことなく立ち尽くす私に貴方は黒色のスリッパを差し出した。

「これ使う?」

「うん、ありがとう」

「どうぞ」

「おじゃまします」

靴を脱いで私はスリッパを履き、室内へ。

ひさぎの部屋は、さっきの玄関同様にきれいに片付けられていた。

わりと思ったよりも広いんだ~

辺りを見渡す私。

「あんまり見るなよ

 座って、お茶でいいか?」

「うん、えっ、いいよ
 気を遣わないで
 すぐにお暇するから」

「話してたら喉が渇くだろう
 一杯ぐらいいいじゃん」

冷蔵庫があるキッチンへと向かう、ひさぎ。

私はソファーの前の床に、畏まって正座する。

「うん、そうだね

 ありがとう

 ……ここって、引っ越したの?

 確か、職場のバイク屋さんに」