黒紅花

一時間も早く制服を脱いでしまった私は今、ひさぎの座るテーブルの前に立つ。

携帯を閉じて見上げる貴方。

その仕草、相変わらずかっこいい。

この胸がドキドキするよ。

「終わったのか、行こう」

もちろん、その低い声にも……

ドキドキしちゃ駄目なのに……ドキドキする。


食べ終えたトレーの上には、重ねられた紙コップのゴミ。

私を待ってる間、何杯飲んだのだろう?

貴方は片手にトレーを持ち、空いてるもう一方の手で私の手に触れ優しく繋ぐ。


あの日、ひさぎの前から消えたはずの私。

二度と逢うことは無いはずだった。


それなのに、私は今、ひさぎと一緒にどこへ行くの?

そして何を話すの?